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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−21 「増飼のストレス」」

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2009年1月16日

 肥育農家さんは、導入牛が肥育飼料に慣れてきたら少しずつ濃厚飼料を増やして行き、飽食に持って行きます。この飽食に持って行く時期および増飼のスピードも人によって様々です。例えば導入後3ヶ月で飽食にする人もいれば10ヵ月目で飽食にする農家さんもいて、これは肥育期間によって異なります。また増飼のスピードも人によって異なり、牛が食べるだけどんどん与えて約1ヶ月という短期間で飽食に持っていく農家さんもいれば、少しずつ何ヶ月もかけて飽食にする農家さんもいます。この増飼のやり方が肥育では一番難しく、牛にとってはストレスになります。肥育牛はこれまで濃厚飼料を制限されているため、濃厚飼料を増飼すると競って食べます。しかしあまり急激に濃厚飼料を食べ過ぎると、ルーメン内のpHが下がってルーメンアシドーシスとなり、下痢や風邪などの症状を示します。この増飼は使用している濃厚飼料にもよりますが、柄杓1杯餌を増やしただけでも症状を示す農家さんもあります。増飼のストレスはどの肥育牛も通る道です。ここでのポイントとしては、一旦増飼し出したら、量を減らさないことです。下痢をするからといって、濃厚飼料の量を減らすと、また増飼する時に下痢をしてしまいます。よってその飼料の量に慣らして行くのです。しかしあまりにも極端な増飼を行うと急性のルーメンアシドーシスに陥ってしまうので注意が必要です。
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