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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−19 「腹づくり総括 1」」

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2008年12月26日

 極端な腹づくり(飼い直し)という飼い方で、成功している農家さんと失敗している農家さんの違いを、(1)粗飼料の種類と質(2)ルーメンコントロール(3)導入牛の選択(4)給与方法以下の四項目について長々と説明させて頂きました。もちろん、飼い直しで上手くいっており、良い枝肉を作られている農家さんは何の問題もありません、そのまま続けて下さい。    もし自分の行っている腹づくりが、成功しているかどうか分からない農家さんは、牛を見て判断して下さい。粗飼料主体の飼い直しの場合は、必ず牛が痩せて、被毛も粗剛になってきます。しかし上手くいっている農家さんでは、極端に牛が痩せてこないのです(太ってはきませんが)。要するに腹づくり期間において、少なくとも牛のBCSは現状維持を保ち、牛に高さが出てきます。そして肥育中期からの濃厚飼料の追い込みにかけて、牛がぐーっと肥育されてきます。ここでも成功している農家さんと失敗している農家さんにより違いが出てきます。この時、去勢の場合、成功している農家さんでは、9割近くの牛が順調に肥育されてきます(メスは去勢と異なり、ほとんどの牛が順調に肥育できてきます)。しかし失敗している農家さんでは、全体の2〜3割くらいは良い牛が出来きますが、逆に3割以上が発育不良の牛が出来てきます。最初の3割は牛に力があったのだと思います。もちろんこの割合は農家さんによって異なります。枝肉の創り自体は、極端に過肥な牛を導入されていない限り、筋間脂肪のかみも少なくそつのない良い枝肉になります。しかし現在の枝肉相場を考慮した時に、3割以上も発育不良牛が出ていたら、経営が成り立ちません。もし飼い直し上手くいかないように感じられた場合は、是非参考にしてみて下さい。(4)の給与方法などは、自分の努力で改善できる項目ですから。
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