(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−18 「4.給与方法」」

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2008年12月19日

 最後に給与方法です。ある日私が、診療が終わったあと農場を眺めていたら、そこの農場の方が餌場のチモシーを新しいものに取り換えていました。見たところ、普通のチモシーで、見た目には何の問題もないような感じでした。理由を聞くと、「ヨダレが付いたら牛が食べなくなるから交換するんだ、食べないチモシーを入れておいてもしょうがない。」と言われました。以前より、そこの農家さんでは一日何回もチモシーを補給しているのは知っていました。しかし、そこまでして食わせ込まなければいけないのか!と大きな衝撃を受けたのです。取り換えたそのちょっとばかり汚れたチモシーは中期や後期の牛に与えます。要するに、いかにチモシーを「食わせ込める」かが勝負だということかもしれません。もちろん、この農場ではチモシーの質にもこだわっており、上質なチモシーを使用しています。またヘイキューブも併用しており、1回に少量を少しずつ、何回にも分けているのに加え、さらに採食量が上がるようにと手で砕いて給与しています。このように、この農場では粗飼料の給与方法にも手間暇かけて、牛に粗飼料を食わせ込む努力をしているのです。この、牛に「食わせ込む」という考え方が、他の農家さんと異なる点だと思います。
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