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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−17 「3.導入牛の選抜」」

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2008年12月12日

 以前のコラムで、粗飼料のみの腹づくりでチモシーを使用した場合、1日に約9kg以上食べなければ、理論上、牛は痩せてしまう計算になると書きました。もちろんこの計算どおりの量が必要かどうか分かりませんが、より多くのチモシー(粗飼料)を食べる必要があります。では、極端な腹づくりで成功している農家さんは、一体どうやっているのでしょうか。
 その答えの一つは素牛の選び方にありました。成功している農家さんでは、それだけの粗飼料を食い込めるような牛を導入しているのです。その牛の特徴としては、大型で、骨格がしっかりしていて伸びが良い牛であり、顔の額と口が広い、いかにも粗飼料を食い込めるような顔つきの牛です。また胸・腹部を見てみると、肋張りもあり、腹に深みがあって、ルーメンが十分に発達しており、いかにも容積の広そうな牛達です。そして最も重要なのが、尾枕も付いておらず過肥ではない、生産農家でも十分な粗飼料で育成されてきたと思われる牛なのです。これらの牛は、チモシーなどの乾草にも慣れており、ストレスなく粗飼料中心の腹づくりに移行できるので、放っといても粗飼料を食い込めるのです。
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