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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−14 「1.粗飼料の選択」」

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2008年11月21日

 前期の腹づくりで重要になってくるのが、粗飼料の種類です。地域性もあるでしょうが、診療所管内の肥育農家さんではチモシーヘイがダントツに多く、次にオーツヘイではないでしょうか。またヘイキューブを合わせて使用する農家さんもいます。チモシーは嗜好性もよく、他の乾草よりエネルギー(TDN)およびタンパク質(CP)ともに高いために使用する農家さんが多いのです。要するにチモシーとオーツを同じ量食べたとしても、栄養価が異なるため、牛の発育に影響してくるということです。またチモシーの中でも種類があり、グレードが高いほど値段は高くなりますが、良質で牛の嗜好性が上がるとともに栄養価も高い傾向にあります。最近の飼料高騰の中で、農家さんも経費削減に努められていて、粗飼料の種類や質を落とすところも増えてきました。もちろん、そうすることで目先の経費削減にはなるのですが、そのせいで肉質および枝重などの低下を招いてしまうとしたら、結果的には高い粗飼料ということになってしまいます。昔、ある肥育農家さんに教えてもらった言葉があります。「私は、一番良質で高価なチモシーを使っているが、私はこれを使用することで良い牛を作り、そして結果的に安い粗飼料にするのだ」と。これこそまさに生産効率を上げる基本かもしれません。高い飼料・安い飼料とは一概に言えないもので、それを使用した結果、出来た生産物により高いか安いか判断できるもの。このことは肥育素牛など何にでも共通することだと思いませんか。
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