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戸田克樹のコラム
第21話「卒業論文⑥Talking of チンパンジー♪ ~子どもが愛される社会・・・なのか!?~」

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2015年2月17日

朝から阿久根は曇り空。
今にも雨がふりそうな天気に少しげんなりでしたが、なぜだかとても温かい朝。
重ね着しなくてもいいくらいの1日となりました。春っぽいなぁ(*’▽’)ウフフ。
心なしか診療も軽やかにサクサクと進行。
穏やかな1日をくれた今日に、本日も感謝の気持ちでいっぱいです。
 
 
さて、前回は彼らの父系社会やソワつき始めたメスのお話をしましたね。
今回はちょっぴり昼ドラっぽい展開となります(´Д`)。

「こどもが愛される社会-メスの繁殖戦略-」

チンパンジーのオスにはほかの多くの動物と同じように順位が存在します。
いわゆる「ボス猿」ですね。彼の存在は大きく、群れのオスたちは決して逆らえません。群れの進む方向を決めるのも、もちろんボス。メスとの交尾権だって持っていますから、基本的には独占です。
第一位のオス以外は交尾すらまともにできないのか。かわいそう…。
 
 
ところが!!!
群れにいる子どもの遺伝子を調べた結果、
「必ずしも子どもの父親は群れのリーダーではない」
という驚愕の事実が明らかになったのです。

ん??どういうこと???( ゚Д゚)

順位の低いオスだって、かわいいメスを見ればイチャイチャしたいのは当然です。そして、幸か不幸か発情期を迎えたメスは基本的にはオスの受け入れ態勢はばっちり。つまり、どのオスとも交尾ができちゃうというわけなのです。人間社会の一般的な倫理観からするとビックリですね。

となると、リーダーの目の届かないところでこっそりと(//▽//)

なんてシーンも出てきちゃうんです。

驚くべきことに、メスは交尾を1度行っても、発情期の間にその他のオスとも交尾を行います。
するとどうでしょう。
生まれた子供…父親が誰だか分からないじゃないですか!
という展開になるのです。わかっていることは、母親が誰か、そして、この群れにいる誰かが父親であろうというその2点のみです。

しかし、誰が父親かわからないということは一方で、「その子が自分の子どもかもしれない」という意識を生むことにもつながるのかもしれません。基本的には子育ては母親が行い、あまりオスが参加することはありません。しかし、子どもが遊びたそうにちょっかいを出してくればつきあってじゃれますし、敵が迫ってくればリーダーや力の強いオスが守りにきます。その対象となるのは群れの中で暮らすこども。

誰の子かわからない。でも、自分の子どもかもしれない。

そうした意識があるのかはわかりませんが、群れのオス誰しもが、必要に応じてパパとして子どもとかかわっていく。そんな子育てスタイル。
メスはそうやって自分の子どもを生かすために、このような繁殖戦略をとっているのかもしれません。

ねぇお母さん。ボクのお父さんって誰なの?
あなたと遊んでくれて、あなたを守ってくれて、あなたとのことを愛してくれる。ここで暮らすみんなが、あなたのお父さんなの。

そんな会話が聞こえてきそう。

つづく

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