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佐々隆文のコラム
「肥育とストレス−7 「扇風機の役割(1)」」

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2008年10月3日

 先日の飼育密度に深く関連するのが、牛床の状態です。密飼いになると床の状態がすぐに悪くなってしまいます。例えば肥育前期において、5平方メートル/頭、敷料:オガ屑、扇風機無しの条件で肥育を行うと、10日も経てば床が汚れて沼みたいになってしまいます。でもいくら頻繁に行っている農家さんでも、交換は14〜20日おきです。そこで登場するのが、扇風機です。
 私は入社当初、扇風機の設置の目的は暑熱対策と通気のためだけだと考えていました。しか真冬でも扇風機は回されており、とても不思議に思っていたところ、扇風機の大きなもう一つの役割は、床を乾かすことだと教えてもらいました。先ほどの5平方メートル/頭の飼育密度でも、直下型の扇風機を設置すれば1ヶ月以上も敷料交換をしなくてもよくなります。農家さんの考えにもよりますが、上手く床を管理しておけば、半年、1年以上も持つ場合もあります。
 敷料交換については、私の考えですが、やり過ぎは労力と経費の無駄な気がします。もし交換しなくても牛床が乾燥した状態を保てるのであれば、しない方が経済的ですよね。また、肥育中期および後期以降に関しては、敷料交換後にスリップ事故や牛が凹みはまり起き上がれなくなるなどの事故の発生率が上がるため、注意が必要です。もちろん、牛舎内のアンモニア臭がきつくなったり牛床の嵩が増してきたら、交換した方が良いと思いますが。
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