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ではどういった牛達がズルになるのでしょうか? 屠畜した後でズルがあるとわかったのでは遅いので、生前診断をします。私達は、ズルの検査として、よく血液検査を使用します。検査項目はCK(CPK)とA/G比を測定します。CKとはクレアチンキナーゼという逸脱酵素(細胞の変性、壊死により血中に放出される酵素)であり、主に全身の筋肉が損傷した時に上がる酵素です。前回お話させて頂いたように、ズルも筋肉の炎症であり、ズルがある場合このCKが上昇します。診療所の検査機器では、CKが400U/dl以上でズルの可能性があると判断します。ただし使用する検査機器により値に多少のずれがあるので注意が必要です。もうひとつがA/G比といって、アルブミン(Alb:血液蛋白質であり、血液の浸透圧に関与しています)とグロブリン(血漿中のフィブリノーゲンおよびアルブミンを除いた血液蛋白質)の比率であり、血液の浸透圧の度合いを示します。血液中のアルブミン濃度が低くなると、A/G比がさがり、血液の浸透圧が低くなり、血液の水分が血管の外(筋肉など)へ漏れだしてしまいます。A/G比が0.4を下回ると、全身ズルの可能性が出てきます。 もちろん、CKやA/G比が正常であっても、ズルが出ることもあり、すべてを網羅しているわけではありませんが、かなり有用な検査です。 |