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佐々隆文のコラム
「ビタミンAの話−24 「肥育中期 2 〜 添加剤 〜」」

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2008年3月28日

 以前のコラムのビタミンA欠乏の症状のところでお話させていただきましたが、ビタミンA欠乏の初期症状として、まず食欲の低下や下痢を繰り返す牛が現れ始めます。いわゆる肥育中期の「食い止まり」にあたるものです。この肥育中期の時期では、肥育農家さんはビタミンAの投与について慎重です。なんとかビタミンAの投与をしないで食欲を回復させようと試みます。極端に言うと、餌さえ食べれば、足が腫れようと、下痢を繰り返そうと、瞳孔が開こうと、ビタミンAを投与しないで様子を見る農家さんがほとんどです。
 ビタミンAを投与しないで、食欲を回復させる方法として一番多いのが添加剤です。例えばゼオライトやソフトシリカなど牛の嗜好性あるものを添加することで食欲を回復させる農家さんもいます。また第一胃の整腸剤や生菌剤を添加する場合、ドン八ヶ岳や強肝剤などを添加する農家さんもいます。また他の方法では1回分の餌の給与を止めるなど、餌の量を調節して回復させる人もいます。
 このような方法で食いが上がらない場合、ビタミンAを補給します。補給と言いましたが、なにもビタミンA剤を注射するだけが補給の方法ではありません。例えば乾草などに含まれるβカロチン(ビタミンAの前駆体)を給与することで、間接的に補給することもできます。よって農家さんによっては、チモシーなどの乾草やヘイキュ−ブのなどを給与することで、この食い止まりをしのぐ人も多いです。またビタミンAそのものを給与する場合も、経口投与や注射薬などあり、農家さんにより様々です。
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