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佐々隆文のコラム
「ビタミンAの話−22 「導入時の抗生剤」」

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2008年3月14日

 導入時に抗生剤を使用する目的としては、いろんな農場および市場よりさまざまな細菌や病原体を持ってきている可能性があるため、導入時にまずこれらを叩いておきたいというものです。導入後の牛さんたちは輸送や環境の違いによりストレスを受けることにより、風邪などの疾病に罹りやすくなってしまうため、これらの発症を減らそうという考え方です。導入時に使用する抗生剤で一番多いのはマイシリンです。安価でかつ、効果的なのがその理由です。しかし最近ミコチルを導入時に使用する農家さんが増えてきました。ミコチルとはチルミコシンという成分の抗生剤で高価ですが非常に効きます。実際使用した感じとしては、導入後に肺炎などの呼吸器症状が多発する農場などでは、ミコチル導入(診療所ではこう呼んでいます)により、呼吸器病の発症率が激減し、良い感触を得ています。このミコチル導入については、コストや耐性菌の面で賛否両論あると思いますが、私個人としては、導入時にミコチルを使用しないで呼吸器病が多発し、他の抗生剤を乱用するより、導入時のミコチル単回投与の方が、耐性菌に関しても良いかなと思います。もちろん導入時の飼養管理の部分がきちんとしている場合に限ってですが。
 もし導入してから呼吸器病が多発する農場では一度試してみるのもいいかもしれません。
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