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松本大策のコラム
中国牧場奮闘記 その3

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2014年12月15日

 「もう中国での牛肉拡販はあきらめよう」と思って、最後の夜に飲んで帰国しよう、と入った日本人向けのスナックで、日本語の「チンタオタイムズ」というタウン情報紙に「新快鮮肉市場」という広告を見つけたのです。

 そこには、「日本式の衛生的なお肉屋さんです」という言葉がありました。僕は思い立ったらすぐに動くタイプですから、「よし、明日このお店に行って店長さんとお話ししてみよう」と考えました。でも、その頃の僕は全く中国語が話せませんでした。正式な通訳さんもいなかったので、佐藤社長の先輩の会社の通訳さんに、交渉の度に手伝ってもらうような状況でした。

 でも、急に思いついても通訳さんをお借りすることはできません。日本人相手のスナックには、日本語も話せるチンタオ大学の日本語科の学生さんもいたので、僕は翌日新快鮮肉市場で話したいこと(自己紹介と中国でやりたいと思っていること)を、その人に翻訳してもらい、発音も解らないのでICレコーダーに録音もしてもらいました。

 その夜、ホテルに帰ってから500回くらいICレコーダーの内容をマネして練習しました。そして翌日新快鮮肉市場に伺い、店長さんを呼んでもらいました。そこからは、必死で覚えた中国語を一方的に話しました。よくよく考えてみると、僕は中国語が話せなかったので、相手が中国語で答えたところで、まったく聞き取れなかったのですが、そんなことは思いもつかずに行動してしまったのです。

 ここからは、ほんとうに小説にしても相手にされないようなことが起こりました。
その中国人の店長さんは、僕が一気に話したあと、「先生はどこで中国語を勉強なさいましたか?」と、大変流暢な日本語で答えてくれたのです。
 訊いたところによると、日本の大手の食肉会社で長年働いていたそうです。そこからは、この楊さんとの繋がりで計画が進み始めたのです。

(続く)

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