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数面麻子のコラム
第63話:風邪について考えてみる③

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2014年12月12日

 ある一定温度に保たれている動物の体が発熱する際の様子をもう少し詳しく見ていきます。プロスタグランジンE2と呼ばれる物質が平熱よりも高い温度に設定値を変更することで、視床下部(脳の一部)は「体温が低下しているぞ」と認識します。すると当然のことながら、体温を設定値まで上げなければいけません。視床下部が指令を出すと、体を震わせることによる熱の産生と抹消血管を収縮させることで熱が体表から逃げていくのを防ぐために体温が上昇していきます。設定温度まで到達すれば、今度はそれ以上温度が上がるのを防ぐために体から熱を放出する反応が起こります。

 発熱があると人間でも「体温が上がってる!下げなくては。」と考えますが、体温を上げることにはそれなりの意味があるのです。体温が上がると免疫細胞が活発に動くことにより免疫力が上がります。人間の場合では体温が1度上がると免疫力が5~6倍強くなるといわれますもんね。

第63話:風邪について考えてみる③

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