2014年12月5日 病原体が牛さんの体内に侵入し、そこで定着して増殖することを「感染」と呼びます。病原体が牛さんの体内でただ居座っているだけであれば「感染」で終わるのですが、その後体の機能に何らかの異常を起こして病的症状がみられる状態になると「発症」となります。病原体に「感染」してはいるけれど、「発症」はしていない状態を「不顕性感染」と呼びます。 では病原体が体内に侵入してきた時、牛さんの中では何が起こっているのでしょうか。病原体が体内に入ってきて最初に動きだすのはマクロファージや好中球などの食細胞です。そしてこれらの白血球が活性化することによりサイトカインというタンパク質が産生されます。サイトカインは血流に乗って脳内に移動し、体温調節に関わっている視床下部と呼ばれる部分でシクロオキシゲナーゼ(COX)を誘導し、プロスタグランジンE2を産生します。このプロスタグランジンE2が視床下部の設定温度(平熱)を上げることにより発熱が起こるのです。 前の記事 第61話:風邪について考えてみる① | 次の記事 第63話:風邪について考えてみる③ |