(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
佐々隆文のコラム
「ビタミンAの話−17 「総体的に」」

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2008年2月8日

 これまでコラムで紹介させて頂いた症状の他にも、いろいろな症状が現れてきます。ビタミンA欠乏症の牛では目が出てきたりします(眼球突出)。あるいは角が艶を失い、かつお節みたいに白くなってくることで判断する農家さんもいます。また牛の体型では、ビタミン欠乏症により食欲が低下することで鞍下の肉の落ちることでも判断できます。他には下膁部の毛が抜けていることも判断の一つと教えられました。これはビタミン欠乏に陥ると、座っている時間が長くなるので、毛が抜けてくるのでしょう。他にもいろいろあると思います。(よかったら是非紹介して下さいね。)
 今までいろいろなビタミンA欠乏症の症状を書いてきましたが、ビタミンAが欠乏しているからといって、すべての症状が出てくるわけではありません。もしくは全く出ないかもしれません。私は普段の診療では、これらのポイントを見て総体的に判断し、そして農家さんとよくディスカッションしてからビタミンAを投与するか否か、または投与するビタミンAの量を決めます。でも肥育中期以降(生後21ヶ月以降)であれば積極的にビタミンAを投与するようにしています。肥育牛はもともとビタミンAを制限されて肥育されていますので、ビタミンA 欠乏の可能性のある牛には投与した方が良いと考えます。だって餌を食べなければサシは入らないのだから。
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