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ビタミンA欠乏の症状が進んでくると、牛は目が見えなくなります。これはビタミンAが網膜において、ロドプシンという視覚色素を生成する原料となるためです。人のビタミンA欠乏症で夜盲症というのがあります。これは薄暗いところでは、物が見えにくくなるもので、症状が進めば失明してしまいます。牛の症状もこれと同じです。同じ牛舎内で、同じ明るさなのに牛によって瞳孔の開き方が異なるのです。そしてビタミンA欠乏のレベルによってもその程度は異なってきます。私達はライトを当てて、瞳孔の閉じるスピードなどを見て、判断したりします。当たり前ですが、完全に失明している個体では、瞳孔は閉じません(開きっぱなし)。血中のビタミンAの濃度が低い個体ほど、瞳孔が閉じるのに時間がかかりますし、完全に縮瞳しなくなります。一度失明してしまうと、後でいくらビタミンAの補給をしても視力は回復しません。私の経験上、視覚障害が出てから失明に至るまでのスピードは案外早いようです。 |