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佐々隆文のコラム
「ビタミンAの話−10 「基本は肥育月齢」」

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2007年12月14日

 ビタミンA欠乏症の牛を見るときに、私が着目しているポイントで最初に農家さんに聞くのが「月齢と食欲」です。
 乳牛では周産期、泌乳期、乾乳期などの各ステージによって、病気の種類や発症率が異なります。肥育でも、生後月齢(肥育月齢)により、各肥育ステージ(肥育前期、中期、後期)により発症する病気の種類がありますので、ビタミンA欠乏症に限らず肥育牛の診療においては、月齢が最も需要な項目です。前にもお話したように、もともと肥育すること自体がビタミンA摂取量を制限しているので、途中でビタミンAを補充していない限り、肥育が進むにつれて、ビタミンAは低下しているはずです。(発症しているかは、別ですけど)
 次に食欲です。ビタミンA欠乏の初期症状の一つとして食欲の低下があります。食欲の低下といっても、まったく食べなくなくなるという事ではありません。今まで10 kg食べていた牛が8 kgしか食べなくなるなど、濃厚飼料を食べる量が低下してくるのです。そのため農家さんによって、食欲の低下を発見する時期が異なり、その後の対応にも影響します。本当に優秀な肥育農家さんは、食欲が落ちてからでは遅いといって、常に牛の状態を見て、食欲が落ちる前にビタミンAをコントロールしています。
 では、なぜビタミンA欠乏症の牛で食欲の低下が見られるのか?その理由はまだはっきりとは分かっていません。牛の脳脊髄圧の上昇に関係している?とかいう話もあります。ただ、実際こういう牛達にビタミンAを補給してあげると、食欲は戻ってきます。
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