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肥育牛にサシが入りやすいように、肥育中期にビタミンAの濃度を下げようと、ビタミンAを制限し過ぎてしまうと、ビタミンA欠乏症の牛が出てきてしまいます。ビタミンA欠乏症の一つの症状として食欲の低下があります。食欲の低下した牛さんにサシが入るでしょうか?サシというのは前にも言ったように余分なエネルギーの貯蔵庫です。食欲が低下してしまっては余分も何も無くなっちゃいます。これでは本末転倒ですよね。さらに、ビタミンA欠乏になると食欲低下以外にも様々な症状やそれに付随する機能的障害が生じてきます。 私の実家は肥育農家ですが、私が子供だった頃、両親はビタミンAコントロールの話を知っていたかどうかわかりませんが、現在ほど、ビタミンAについて慎重ではなかったように思います。 当時、佐賀県で有名な肥育農家さんに、私の両親が肥育のコツを尋ねると、その農家さんはこうおっしゃいました。「簡単なことだよ。腹いっぱい飼料とワラを食べさせることだよ。」 今思えば、本当にこの言葉に尽きると思います。昔の優秀な肥育農家さん達は、ビタミンAコントロールという言葉も知らず、濃厚飼料と稲ワラを、導入時からお腹いっぱい食べさせることで牛を肥育し、結果的に自然とビタミンAコントロールができていたのだと思います。 現在では、伝統的な肥育技術(秘伝?)について、いろんな情報が開示されるとともに、肥育技術が理論上証明されてきています。情報量も豊富です。しかしながら逆に情報に踊らされて、肥育の基本というものを見失ってはいないでしょうか・・・。
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