|
|
前回のコラムで肥育牛には、必要量のビタミンAを給与しないことで、血中のビタミンA濃度を下げていくとお話させてもらいました。理想的には肥育牛全頭が同じ飼料を給与・管理されることで、肥育中期に血中のビタミンAの濃度を30〜50IU前後で推移できれば問題ありません。しかし個体差があります。人間でもそうですが、同じ環境で、同じ食べ物を食べたとしても、太り方は人それぞれです。それと同じで、肥育牛も同じ飼養管理をしても、牛によって血中のビタミンA濃度の推移(低下率)が異なります。よって、肥育牛の飼料は、肥育中期に血中のビタミンAが必ず下がるように、ギリギリのところまでビタミンA含有量を下げてあります。 結果的に多くの肥育農家さんでは、肥育中期に血中のビタミンAを測定してみると、50IU/dl以下になっています。しかしここには大きな落とし穴があります。それは牛によっては、血中の濃度が30IU/dl以下の欠乏量になっている個体も存在してしまうのです。個体によっては測定不能(1桁)の牛もいます。これがビタミンAコントロールの大きな落とし穴であり、最大の問題点です。肥育牛は常にビタミンA欠乏症の脅威に曝されているのです。
|