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ではどうやって肥育中期(生後15〜23ヶ月)に血中のビタミンA濃度を下げていくのでしょうか? 前回のコラムでも書いたように導入期に血中のビタミンA濃度が100IU/dl前後のものを、肥育中期に30〜50IU/dlまで低下させなければいけません。その答えは、肥育の飼料にあります。 肥育牛の飼料は大きく分けて、粗飼料(稲ワラや乾草)と濃厚飼料に分けられます。粗飼料は、肥育前期には乾草(チモシーやオーツ)などβ−カロチンを多量に含むものを与えますが、肥育中期に移行するにつれて、β−カロチン含量の少ない稲ワラ中心となります。次に濃厚飼料です。濃厚飼料は麦やトウモロコシ、フスマ、大豆粕などが中心となりますが、β−カロチン含量としてはとても少ないものです(ビタミンAが無添加の場合)。 肥育牛の一日あたりのビタミンAの必要量は42.4IU/kgぐらいと言われています。肥育中期の600kgの牛で計算すると、25440IU必要なことになります。しかし実際の肥育中期の餌では一日10000IU以下に抑えられており、必要量の半分以下しかビタミンAは入っていません。よって肥育牛は肥育期間が進めば進むほど、摂取するビタミンA量は不足状態であり、濃厚飼料を食べれば食べるほど、血中のビタミンA濃度は下がっていくことになります。
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