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蓮沼浩のコラム
第396話:尿を調べる

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2014年11月20日

 これまでカビ毒についての研究も数多くなされていますが、まだまだわからないことが多いのが現状です。特に畜産のフィールドでの研究報告はそこまで多いわけではありません。カビ毒の研究をする上で難しいことの一つにエサの中のカビ毒を測るというものがあります。エサの中のカビ毒は本当に採材する場所によって全く異なる結果が出てしまうのです。ある場所は汚染がひどくても、ちょっとずれた横は全く問題なしなどということもあります。明らかに見た目でおかしいと思っても、そこまで狙っていたカビ毒の濃度が高いわけでもなく、はたまた見た目では全く問題ないように見えるところでも非常に高濃度に汚染されている例もあります。そのためにはっきりとカビ毒を牛さんが摂取しているとなかなかいうことが難しい面もあります。

 では実際にはどのくらい牛さん達がカビ毒に直接汚染されているのか?鹿児島大学共同獣医学部産業動物学講座ではゼアラレノンというカビ毒に注目して牛さんのおしっこからカビ毒の代謝産物を検出する方法を構築しました。この方法のすばらしいところは、実際に牛さんがカビ毒を摂取して肝臓で代謝され、尿に出てきたものを測定しているのでどのくらい生体がカビ毒を摂取したかということが客観的な数値でわかることです。多くの牧場で尿を採取して比較することで汚染状況を把握するのです。今まではエサから汚染状況を推測していたものを、生体の側から推測していこうというわけですね!

第406話:尿を調べる
尿からカビ毒を測ることで牧場のカビ毒汚染状況を調べるのです。

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