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今回は実践編です。まずシェパード畜産①と②の枝肉を見てみると、両方ともA-3等級ですが、枝肉単価100円も違います。この違いはどこからきたのでしょうか?? 肉質等級もすべて同じです。となると違っているのは歩留まりですね。ここをよく見てみると①の枝肉の方が②より皮下脂肪も薄く、ロース芯とバラが厚くなっています。購入した肉屋さんが①の方が枝肉の利用価値が高いと考えて、枝肉単価を高く付けてくれたのでしょう。 一般的に皮下脂肪は3㎝未満が良く、ロース面積も50 cm2以上が望ましいとされ、60 cm2以上ならエクセレント! そしてバラの厚さは8 cm以上欲しいですね。 次に③と④の枝肉です。先ほどの説明からすると歩留等級は④で少しバラが厚いくらいで枝肉の作りは標準的なものと考えられます。しかし肉質等級に注目して欲しいのです。通常「脂肪交雑」等級と「肉の色沢」および「肉の締りおよびきめ」の等級は一般的に同じになることが多いです。つまり脂肪交雑がBMSナンバー6で4等級であれば、「肉の色沢」および「肉の締りおよびきめ」は同じ4等級であることが多いのです。しかし③と④の枝肉では脂肪交雑等級より「肉の色沢」および「肉の締りおよびきめ」の等級が1ランク上になっています。これは「肉の色沢」および「肉の締りおよびきめ」はそれぞれ抜群に良いけどサシがあと少し・・・という感じだったのでしょう。 「サシ」というものは、その個体の能力というものが大きく、こういう枝肉は十分牛を飼い込んでいると考えられ、同じ3や4等級でもモノが良い3および4等級であると想像できます。 最後の⑤の枝肉は歩留まりおよび肉質等級では、あまり注目することはなく、むしろ若干皮下脂肪が厚く、ロース芯が小さくあまり良い枝肉とは評価できません。しかし注目すべきは枝肉重量です。この枝肉の売り上げは、603.8(枝肉重量)×2038(枝肉単価)=約123万となります。この売り上げを、枝肉重量470kgであげようとすると、枝肉単価は2618円となります。枝肉単価2600円といったら、5等級でもBMSナンバー10番以上でないとなかなかそんな値はつきません。前にもお話したように今は10番以上の枝肉はめったに見ることはできませんので、そう考えると枝肉重量600kgをとる方が簡単のような気がしませんか?! 結局サシも大事かもしれないけど、なんと言っても売り上げが一番大事だと私は思うのです。
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