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数面麻子のコラム
第58話:寄生虫の話㊴

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2014年11月7日

 ネオスポラの治療においては、下痢を引き起こすコクシジウムの治療薬であるサルファ剤が有用ではあるようですが、完全にネオスポラを排除するのは難しく、今のところ確実な治療法は存在しません。ワクチンもないので、残念ながらネオスポラ感染牛の排除が一番の措置となります。
 以下からは、牛さんに流産をひき起こすもう一つの寄生虫トリコモナスについてです。
トリコモナスもネオスポラと同じく原虫で、移動するための長い毛、鞭毛と呼ばれるものと波動膜と呼ばれるものが体表についています。
生殖器を介した接触感染で伝搬するため、自然交配を行っているところでは注意が必要です。人工受精をやっているところでは、問題になることはまずありません。(途上国など人工受精器の衛生管理等が徹底されていないところでは発生が見られることがあります。)
症状としては、雌の牛さんで感染後約3日目に腟炎による黄淡色の悪露の排出がみられ、2週間後にはトリコモナスが子宮に侵入します。子宮内に入った後はそこで増殖し、流産をひき起こします。

第58話:寄生虫の話㊴

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