2014年10月31日 牛さんで流産をひき起こすネオスポラの感染経路を見ていきましょう。ネオスポラの最終的な宿主は犬です。ネオスポラにとって終宿主(牛さんと同じように中間宿主の役割も果たします)犬は、糞便とともにオーシスト(コクシジウムの話のときに出てきましたが、虫卵みたいなものです。)を排出します。それを中間宿主である牛さんが飼料などと一緒に経口摂取することにより感染するのです。妊娠した牛さんから胎盤を介して胎児へ感染するのは見られますが、同居牛同士での感染はないと考えられます。どうしてかというと、中間宿主である牛さんは他の牛さんへの感染源となるオーシストを排出しないからです。終宿主(そして中間宿主でもある)である犬は、ネオスポラに感染した牛さんの胎盤や胎児を経口摂取することで感染したり、あるいはオーシストの経口摂取によっても感染が成立します。よって、ネオスポラによる流産を防ぐためには第一にオーシストを排出する犬を牛さんに近づけないことが大切ということが分かります。そしてネオスポラに感染している母牛から生まれてきたメスの牛さんは繁殖牛に用いないことも重要です。 前の記事 第56話:寄生虫の話㊲ | 次の記事 第58話:寄生虫の話㊴ |