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数面麻子のコラム
第56話:寄生虫の話㊲

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2014年10月17日

 10月に入り、だいぶ朝や夕方が涼しくなってきました。暑熱ストレスがなくなって、これからの季節は母牛さんの受胎率も上がってくるのではないでしょうか。
さて、こんな話をしておきながら、今回紹介する寄生虫は流産をひき起こす原虫のお話です。
ネオスポラという名前を聞いたことがありますか。ネオスポラは比較的最近、1988年に新種として記載されている原虫です。
 妊娠した牛さんがネオスポラを経口摂取してしまうと、胎盤を通して胎児に感染してしまいます。流産する時期は通常妊娠3から8か月目とされています。流産胎児では非化膿性の脳炎がみられ、他に心筋炎や筋炎が見られることもあります。また、流産を逃れて無事生まれてきたとしても1部は脳炎による起立不能や神経症状を示し、予後不良で死亡してします。そして大多数は感染していても症状が出ないまま成長し中枢神経系にネオスポラを保持し続けます。不顕性感染をした牛さんが妊娠するとネオスポラが再び活発に動き出し、再び胎児へと移行するのです。

第56話:寄生虫の話㊲

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