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率直な感想として、繁殖治療を目的としたときのPRIDの反応はかなり良いと感じました。他のホルモン製剤を用いた場合、どうしても誘起した発情が弱い事が多く、農家さんが発情を見逃すケースがよくありました。また、使用当初は農家さんが腟内留置型黄体ホルモン製剤(PRID)に対して慣れておらず、使用方法を説明するのに苦労しましたが、最近では農家さんの方から「あのグルグル」を入れて欲しいと依頼される事が多くなりました。これが「現場の答え」だと思います。PRIDの一番のメリットとしては明確な発情が誘起されやすいことだと思います。 またPRIDについてはいろいろな実験が行われていて、多剤併用で発情誘起率や受胎率が上がるとの報告があります。しかし私が診療する地域においては必要ないような気がします。なぜならば私が考えるPRIDの第2のメリットとして1回で診療を終えることができる点が挙げられるからです。すなわち2回診療すれば往診料も2倍かかります。また多剤併用でもホルモン剤や技術料がかかります。処置後農家さんが自分で抜去することで、ものすごくシンプルかつ安く治療できるのです。もちろん共済適用外の薬のため農家さんの自己負担になるなどデメリットもあるんですが…。 ここ数回を通して、PRIDを使用してみた実際の結果や感想を自分なりに書かせて頂きました。コラムを読まれた方々の何か参考になればと思います。ただし、PRIDが繁殖障害の治療において一番良いとは一概には言えません。やはりいろいろなケースがあるからです。 今回のコラムでは100例について結果を報告しましたが、現在も使用しています。200例になったらまたコラムで報告したいと思います。どのようなケースにPRIDが最適なのか、なんて分析ができたらいいなぁ。
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