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椎葉絢香のコラム
牛の獣医師になりたい!想いの始まり④

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2014年10月22日

 私の父は、地元の地区の小さな神社の神主もしています。
初代は祖父が務めていましたが、今は父が全て受け継いで行っています。

 小さな地区の小さな神社ですが、地元の人たちの年越し、初詣、大祓い(年に2回行う家のお祓い)、地鎮祭(家を建てる前に土地を清める)、工事安全祈願祭、病気平癒祈願祭、お墓移転祈願祭など・・・休みの日には呼ばれ、地区の人のために一生懸命走り回っています。

 その他にも、春と秋には地区の人を全員集めて豊作祈願祭を行い、12月には嶽之枝尾神楽という夜神楽も行い、全国各地から観光客や大学の先生が訪れる伝統芸能行事になっています。

 また、村内の畜魂供養祭でもお祓いをしています。
その際に父は、こんな言葉を村の人に毎年話しています。
私と弟が幼い頃、競り市で売られていく牛を見て泣いていた時からずっと話していてくれていた言葉です。

『私たちは、牛を飼って、牛を売って生活しています。
 今こうして、ご飯を食べられるのも、お風呂に入れるのも、いろいろなものを買えるのも、車に乗れるのも、学校に行けるのも、全部牛のおかげです。
 私たちは60歳とか80歳まで生きることができますが、この子達(子牛)の寿命はわずか3年~4年です。

 それでもこの子達はあなたの家に来てくれました。
 あなたの家に来てくれて幸せだったでしょうか。

 これから、どんな場所に売られていくのか分かりません。優しい農家さんに行くかもしれないし、そうでない農家さんの所に行くかもしれません。振り返ってみてください。

 短い命の中で、せめて皆さんの家にいるわずかな期間だけでも、美味しいご飯を沢山食べ、綺麗な水を飲んで、フカフカのベッドで寝て、元気に走り回れる環境を作って過ごさせてあげてほしいと思います。

 そうすれば、絶対にこの子達は皆さんに恩返ししてくれます。』

………つづく(*^▽^*)

牛の獣医師になりたい!想いの始まり④

牛の獣医師になりたい!想いの始まり④

牛の獣医師になりたい!想いの始まり④

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