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佐々隆文のコラム
「プリッドの話−7 「PRIDの留置期間について」」

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2007年4月20日

 PRIDの留置期間の基本は12日間です。私達が治療を行った100例においてもすべて12日間の留置を目標にしました。これは、前回お話したようにPRIDに装着してあるエストラジオールの作用により出現した卵胞が、主席卵胞となり高い受精能を保有すると考えられる時期が挿入後12日であるからです。ここでの注意点としては12日間を超えないことです。12日間を超えて留置してしまうと、主席卵胞の存続時間が8日間以上に延長し、卵胞内卵子がLHの感作を受けて老化するため、逆に受胎率が落ちるそうです。
 逆に12日間より短い留置期間についてはというと、問題点として母牛自体が保有する黄体の影響が。すなわち短い留置期間で抜去した場合、PRID由来の血中プロジェストロン濃度は低下しますが、母牛の黄体由来のプロジェステロンがある可能性があり、抜去後プロジェステロン濃度が低下せず、発情日にバラつきが生じます。よって12日間より短い留置期間の場合はプロスタグランディンF2α製剤(PG)を併用します。PGの投与時期に関しては抜去する日の前日とすると受胎率が高いようです。
 例えば12日間の留置期間を考えていたのに10日目に脱落してしまった場合など、再度留置する必要はなく、心配ならPGを投与すればよいのです。
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