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佐々隆文のコラム
「プリッドの話−6 「PRIDの特性について」」

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2007年4月13日

 PRID(あすか製薬)は不活性なシリコンエストラマーで覆われたステンレススチール製のラセン状様であり、安息香酸エストラジオールの入ったゼラチンカプセルが付けられています。このエストラジオールの有無が他の腟内留置型ホルモン製剤との違いであり、最大の特徴であるようです。すなわちPRID挿入後、シリコンエストラマーより一定量のプロジェストロンが持続的に腟粘膜から吸収され、血中プロジェステロン濃度が黄体期レベル(4〜5ng/ml)にまで上がり、一定期間維持されます。またエストラジオールの方は挿入と同時にカプセルより速やかに放出・吸収されることで血中エストラジオール濃度が上がり、約2日間維持されます。
 このエストラジオールの作用により、それまで卵巣内にあった卵胞を閉鎖・退行させ、エストラジオールの濃度が下がるとまた新しい卵胞が作られ始めます。このように卵胞がリセットされることにより、PRID抜去時には新鮮な卵胞が出現し、受胎率が上がるそうです。またこのエストラジオールは挿入時に存在していた黄体の早期退行または形成抑制を促進する作用があるので、さらに発情の同期化に効果的とのことです。
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