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佐々隆文のコラム
「第20回 「凍結精液の取り扱い」」

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2007年2月12日

 次に凍結精液の取り扱いです。凍結精液は液体窒素タンクの中で約−196℃で保存されています。凍結精液の安全ラインは−80℃までだと言われています。これより温度を上昇させる時は適正な温度で迅速に融解しないと精子に不可逆的なダメージを与えます。
 窒素タンク内の凍結精液はキャニスター内に保管されていますが、先ずキャニスター自体が常に液体窒素についている必要があり、液体窒素の量を確認する必要があります。
 次にキャニスターから凍結精液を取り出す際は、タンクの口基から5〜7cmのフロストラインより上に持ち上げてはなりません。このライン以上持ち上げるとタンク内部の温度が−80℃を超えてしまいます。また精液は0.5mlのストローの場合は5秒以内、0.25mlは3秒以内に取り出します。取り出せなかった場合は、一度キャニスターをタンクの底に30秒間戻して、精液を−196℃まで下げてから再度取り出します
 取り出した凍結精液の入ったストローは、迅速に35℃の温湯に入れます。
 また大事なのは一度タンクから出した精液は、外見が凍っているように見えてもストローをタンクに戻してはいけません。外気26℃では、ストローは3秒で−80℃になってしまうそうです。案外3秒は短いですよ
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