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佐々隆文のコラム
「第19回 「人工授精の手技」」

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2007年2月5日

 受胎率を上げる要因で人工授精の適期(タイミング)以外に、人工授精の手技があげられると思います。いかに母牛のコンディションを整え、受精適期に人工授精を行ったとしても、注入する精液の活力が低下、あるいは死滅していたら受胎率が下がります。
 実際に人工授精師さんを集めて人工授精の手技の講習を再度受けてもらい、講習前と後の受胎率を比較してみると講習を受講した後の方が、受胎率が上がるとの報告を聞いたことがあります。
 人工授精では、精液注入部位は頸管の中か子宮体もしくは子宮角となり、自然の交配より優位な場所に精子が注入されることになります。
 一方で、このことは頸管もしくは子宮内に異物を挿入することを意味し、病原体感染のリスクを高めます。実際の現場で完全に滅菌した状態の人工授精器具を挿入できることは不可能に近いとおもいます。
 だからこそやはり異物を挿入しているという(自然界ではあり得ない)意識を念頭に入れ、衛生的に人工授精を行うことが先ず大事だと思います。
 もしかしたら写真のように人工授精を行ったことにより、子宮内膜をいためているかもしれませんよ!
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