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佐々隆文のコラム
「第8回 「受精能獲得」」

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2006年11月2日

 子宮内を登っていった精子は、子宮角先端の子宮卵管接合部で再び精子移送の関門を受けます。
 エストロジェンの影響下ではこの部分(子宮卵管接合部)は腫脹し、内腔は塞がった状態であり、精子がここを通過するには良好な精子運動性が必要となります。
 また子宮内で射精される動物(馬、豚)ではこの接合部で精槳の流入を防いでいます。
 子宮卵管接合部を通過した精子は、卵子が排卵されるまでの間、卵管峡部に貯留します。卵管での精子貯留時間は18〜20時間であり、この間に卵子に侵入できる能力を獲得します。 
 この変化を受精能獲得(capacitation)といいます。精子は頚管や子宮内でも受精能を獲得できますが、受精に関与する精子は卵管狭部においてこの受精能を獲得します。
 そして卵子の排卵により卵管輪走筋の収縮運動がおこり、精子は卵管膨大部狭部接合部方向へ移送され卵子と出会います。
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