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雌側でも受精の前にはさまざまな準備が行われます。頚管は非発情期(および妊娠期)には子宮を膣から遮断していますが、発情期には精子を受け入れ易い状態となります。 すなわち発情期には卵巣から分泌されるエストロジェンの影響により、外子宮口が開き、多量の粘液を排出するようになります。また粘液自体の性状も変化し、発情期の頚管粘液は水分濃度が増加して水溶性が高まり、伸びが良くなります。 頚管粘液はムチンと可溶性物質によって構成されていて、エストロジェン支配下ではムチンに溶け込んでいる可溶性タンパクの粘稠度が低下し水溶性になるのです。だから発情粘液は伸びやすくなるのですね。 精子の性状として、一般に酸性が強くなると運動性は抑制され、アルカリ側では活性化されます。一方、精子の生存時間は酸性側では長くなり、アルカリ側だと短縮されます。みなさんご存知のとおり発情期の頚管粘液は酸性です。 よって射出された精液は開いた頚管と酸性で水溶性の粘液に吸い込まれるように頚管の中に入っていきます。 頚管の中では、先ほどお話したように、精子自身の運動性は抑制され、逆に生存時間が延びて、多数存在する腺陰窩の中に精子は一時的に貯留され、持続的に少しずつ放出されるわけです、このとき精槳も除去されます(精漿は受精能を低下させる因子を含んでいます)。 この中で運動不良の精子などは、膣内に排出されます。つまり頚管が精子にとっての第一関門であり、ここでまず選抜・淘汰されるのです。
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