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佐々隆文のコラム
「第4回 「雄の最初の試練」」

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2006年10月5日

 牛の精巣組織の分化は、間質細胞の変化とともに3〜4ヶ月齢で始まって、6ヶ月齢では完成した精子が見られるようになり、8〜10ヶ月齢には採精可能な状態となります。
 私の診療所では去勢は生後4〜6ヶ月齢で行います。なぜ去勢するのか、それは脂肪沈着促進や筋繊維の軟らかさ向上による肉質の向上を期待してのことです。また精巣から分泌される雄性ホルモン(テストステロン)が雄の攻撃性に関わっていることから、去勢することにより性格が温和となり、飼育しやすくするという目的もあります。
 去勢法には、ゴムなどで縛切したり、無血去勢器(バルザックなど)を使用する非観血去勢法と、切開手術により精巣を摘出する観血去勢法があります。一口に観血去勢と言いましても様々な術式がありますが、当診療所では無麻酔の結紮法を用いており、生後4〜6ヶ月で行っています。
 私は入社した当初、この無麻酔法に少し驚きましたが、自分でやってみると、倒す時に少々手間はかかりますが、去勢後すぐに起立することで、感染のリスクも減りますし、農家さんの理解があれば、無麻酔観血法の方が良いのかなと最近思っています。
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