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このように、現在当たり前に行われている人工授精とは家畜改良が行われてきた過程で生まれた技術であり、当然本来の牛の交配の姿ではありません。 交配形式だけでなく、牧場での飼育に関しても自然とは程遠い形態をとっています。今、私たちが当たり前に見る牧場での飼育形態も、本来の自然の姿ではありません。 例えば酪農家では成牛のほぼ100%が雌です。 雄牛はどこへ行ったのでしょうか。 生まれた乳牛の雄の子牛は、性成熟する前、生後半年以内に去勢されてしまうため、雄の成牛は存在しないことになるのです。 このように、現代畜産の牛社会は完全なる雌社会です。これは自然界ではもちろん有り得ません。 人工授精とは逆に放牧などで多い形式ですが、自然交配により交配させる「まき牛交配」があります。これは放牧中の雌牛群に一定の期間、種雄牛を導入し自然交配をさせます。まき牛交配も含め自然交配では、やはり雌の牛群の中に「雄」の存在が必ずあります。 ある先生のお話によれば、雌のみの集団にいると、そのうち何頭かの雌は雄化してくることもあるとのことで、繁殖障害などを引き起こす様々なホルモン失調の根底には、この問題があるのではないかと、私自身、普段治療しながら感じています。
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