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みなさん初めましてシェパード中央家畜診療所の佐々隆文です。今年で3年目の獣医です。今回は牛の受精の話をさせて頂きます。受精の話と言っても、それほど難しい話や最先端のことではなく、教科書に載っている基本的なことを中心に、また大学時代や現場に出て感じたことなど、実体験もささやかながら交えてお話できたらと思います。この文章を読み、日頃みなさんが行っている牛の繁殖のイメージが少しでも広がればと考えています。 現在、私は牛、特に肉用牛の臨床獣医として働いています。牛の畜産に携わる多くの人は、受精と聞いたら人工授精を想像するのではないでしょうか。 人工授精(artificial insemination:AI)とは「動物が子孫をつくるのに交配を必要とせず、人工的に雄の精液を雌の生殖器内に注入して妊娠を成立させる技術」と定義されており、今日では家畜改良の促進、受胎率の向上や、交配のための労力・時間・経費節約という利点から、牛の繁殖のほとんどが人工授精によって行われています。 数字で見ると、種雄牛一頭の年当たりの平均採精回数は120回、また年当たりの人工受精可能延頭数は12000〜24000頭にもなります。 |