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蓮沼浩のコラム
「第257話 「抗生物質あれこれ その10」」

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2011年12月15日

 マクロライド系の抗生物質には今までお話ししてきたように抗菌作用だけではなく自己免疫調節機構も存在します。小生はこの免疫調節機構の効果を期待して予防的にマクロライド系の抗生物質を投与します。あくまでもワクチンと同じように予防薬という考えをもって使用しています。肺炎が悪くなってどうしようもない状態で使うのではなく、あくまでもそのようにならないようにするために投与する。今後このような考え方が主流になってくるのではないかと思います。しかし、やはり気になる点はあります。それは抗菌作用に関する点です。現在チルミコシン製剤が主流となっていますがカナダなどの海外の研究ではツラスロマイシンなどにも非常に効果の高い免疫調節機構があることがわかってきています。まだ日本では牛さんに使うことはできませんが、今後少しでも選択肢が増えることで耐性菌の問題を緩和できればいいなと思っています。さらなる研究に期待です。

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