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蓮沼浩のコラム
「第256話 「抗生物質あれこれ その9」」

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2011年12月8日

 今回から今までお話してきたマクロライド系抗生物質に対する小生の雑感を述べてみたいと思います。基本的には現場で使われるマクロライド系の抗生物質はチルミコシン製剤が多いのではないでしょうか。結構高価な薬です。そのためか時々この薬を打つと他の薬が効かなくなるという話を耳にします。おそらくその考え方の中には以前述べたように「値段が高い薬が効く薬であり、これが効かなければこれより安い薬は効果がない」という考え方をしているのではと思うことがあります。抗生物質の効果は値段ではなくあくまでも作用機序や相手の細菌などの種類が重要であると思います。様々な系統の抗生物質には攻めるポイントがあります。DNAギラーゼの合成阻害、細胞壁の合成阻害、リボソームのタンパク合成阻害などなど。マクロライド系抗生物質はリボソームのタンパク合成阻害をすることで静菌的に抗菌作用をあらわします。このようなことから小生は感受性試験の結果をもとにチルミコシン製剤を投与している牛さんでも治療する場合は値段が安くても攻めるポイントが異なる抗生物質を選択して投与しています。

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