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前回までのお話で抗生物質の細菌をやっつけるという作用のほかにある重要な作用を説明してきました。簡単に言えば、白血球のネクローシスと過剰な炎症反応を抑制するという作用です。別の言い方をすれば白血球のアポトーシスの誘導と炎症誘発因子の放出抑制。なんだか肺炎を起こす細菌をやっつけるという攻撃的で華やかな作用に比べると妙に裏方の地味なような感じがするかもしれません。しかし、この効果は侮れません。予防的にマクロライド系の抗生物質を投与し、白血球のPCDのスイッチをONにしておくことで肥育牛の導入時の肺炎が相当予防できるということがわかってきています。現場の農場でかなりの手ごたえを感じていらっしゃる獣医さんや農家さんも結構いるのではないでしょうか。この予防的投与が効果を上げるということはそれだけ白血球のネクローシス等による肺組織の障害というものが重要であるということの表れかもしれません。ワクチン接種とマクロライド系抗生物質の併用は今後さらに重要な呼吸器疾患の予防方法となると思われます。しかし、しつこいですが飼養管理が基本ですのでそこは忘れないでくださいね!
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