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蓮沼浩のコラム
「第252話 「抗生物質あれこれ その5」」

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2011年11月10日

 抗生物質の重要な作用は細菌をやっつけるということです。これは今まで述べてきたように耐性菌の問題はありますが、絶対に譲れないポイントです。小生を含め、多くの獣医さんはこの作用を期待して抗生物質の投与を行います。そして農家さんやその他多くの人も抗生物質といえば細菌をやっつけるために使うものだと認識していると思います。しかし、2000年に入ってから抗生物質のもう一つの作用に注目が集まり始めました。この作用は細菌をやっつけるというものではなく、自分の免疫機構に作用することで肺炎が増悪することを防ぐという一風変わったものです。この作用はすべての抗生物質にあるというわけではなく、主にマクロライド系という抗生物質にあります。今までは肺炎が発症してからその細菌に対して効果のある抗生物質を投与していましたが今では予防的に抗生物質を一度投与しておき、自己免疫機構を調節することで肺炎の発症を防ぐというワクチンのような予防的投与が効果を上げています。次回からはこのシステムについて紹介しようと思います。

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