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蓮沼浩のコラム
「第241話 「血便 その5」」

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2011年8月18日

 肥育農場で血便が出た場合はどのようにするのか。一応小生の治療の流れは臨床症状からサルファ剤+抗生剤のスタンダードな治療に加えて肥育月齢などを考慮し、農家さんとビタミンの投与や生菌剤の添加などについて話し合います。そして数日治療をしていると・・・あれ?もう一頭血便の治療が増えたぞ?というような状況になる時があります。血便は結構広がります。色々な意見はあると思いますが、小生は一応2頭までなら他に血便が出る可能性があるので注意しておくように農家さんに伝え予防措置はあまりとらずに普通に治療します。しかし、気がつくと3頭目の発生。ここで小生は遅ればせながらマックマスター計算盤にて糞便検査。コクシジウムの確認とOPGのチェック。すぐさま農家さんに敷き料の交換をしてもらいます。血便が出ているマスの堆肥をとってきて顕微鏡で調べてみると当たり前ですがコクシジウムがチラホラ見つけられます。糞便中には恐ろしいほどの量が排出されているので牛床には大量にいることは間違いありません。牛床の表面を削り取ったり、交換したりすることは相当数のコクシジウムを除去することができるので他の牛が濃厚感染する機会を大幅に減らすことができます。是非ともやりたい対策ですね。後は状況に合わせてビタミン剤の投与や生菌剤やサルファ剤の飼料添加をおこない淡々と治療していきます。それぞれの牧場や獣医さんで対応は色々あると思いますがやはり広がった場合は一気に勝負をかけた方が終息は早いです。あと、一度だけ肥育牛100頭規模で初診から6頭の血便の治療に入ったことがあります。その時はすぐさま対策をとりましたが・・・・やはり病気の早期発見は重要です。

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