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蓮沼浩のコラム
「第240話 「血便 その4」」

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2011年8月11日

 小生は肥育牛の往診で一般的な血便の場合はサルファ剤と抗生物質を中心とした治療を行います。ここで注意なのですが、松本院長も口を酸っぱくして昔からいつも言っていることに、「血便にはコクシジウムがいるからといってサルファ剤単独の治療をしてはいけない。必ず抗生物質を併用するように」ということがあります。「血便=コクシジウム」と考えるのは非常に危険であるということです。肥育牛の場合、クロストリジウムとの混合感染が問題となっています。サルファ剤だけの治療で症状が増悪し、肥育牛が死亡する事例もあります。もちろん小生も必ず抗生物質を併用するようにしています。サルファ剤だけで治る血便もありますがコクシジウムに痛められた腸粘膜に細菌の二次感染がある場合や病原性大腸菌、サルモネラなどの血便の可能性などもありますのでサルファ剤単独の治療ではなく抗生物質の併用をした方が安心です。しかし抗生物質を選ぶにあたってちょっと注意しないといけないことがあります。それは出来ればセフェム系の抗生物質は血便には使わない方がよいということです。セフェム系の抗生物質は時によっては血便を増悪させたり、エンドトキシンショックを引き起こしたりすることがあるからです。切れ味鋭い場合もあるのですが、ちょっと副作用が心配でもあります。止血剤に関しては獣医さんによって考え方は色々です。使う先生もいれば使わない先生もいます。治療法にかんしてはそれこそ色々あるのですが、血便治療の基本はサルファ剤+抗生剤が非常に重要であると思っています。

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