(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
蓮沼浩のコラム
「第242話 「血便 その6」」

コラム一覧に戻る

2011年8月25日

 肥育牛の血便の治療でいつも心掛けていることがあります。血便とはいっても良便の周りに血がついているようなケースはあまり心配しないのですが、時々赤ワインのような水様性の血便に遭遇します。大きな肥育牛が目の前で「ド、ド、ド、ドババババ〜〜〜〜〜!」と大量の赤ワインを肛門から排出。お!と思って体を触るとヒンヤリと異様に皮温が下がっています。この様な時は自分で細菌を検出してはいないのですが
Clostridium perfringens(クロストリジウム・パーフリジェンス)とコクシジウムの重度混合感染による血便と判断して気合いを入れて治療します。補液や生菌剤の大量投与、ビタミン剤の投与などなど最初からかなり押します。おそらく腸管内でクロストリジウムが大量発生し、菌体外毒素が相当な悪さをしているのではと思っています。ここで一番のポイントは皮温の低下です。水様性の血便、皮温の低下、食欲廃絶という場合は注意して下さいね。肥育牛の血便では同じ血便とはいっても、命に関わる「ヤバイ血便」、やたらと広がる「面倒な血便」、すぐに治る「かわいい血便」があることを頭の片隅に置いておいて下さい。もちろん小生は「かわいい」のが好きです・・・と思ったら牛の便だったのでやめておきます。

|