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数面麻子のコラム
第48話:寄生虫の話㉝

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2014年8月22日

 さて、肝蛭の治療のお話です。牛さんの糞便の中から虫卵が見つかったら早速駆虫に取り掛かります。駆虫薬としてはブロムフェノホスやトリクラベンダゾール、ニトロキシニルなどがあります。ブロムフェノホスは成虫と1部の発育期の幼虫には効果があります。過剰投与の場合副作用が出るので牛さんの体重をしっかり見極めなければいけません。ニトロキシニルも同様の効果を示しますが、出荷規制が110日と長い薬です。トリクラベンダゾールは幅広い発育段階の幼虫から成虫にかけて効果がある薬です。今現在もっともよく使われている薬かもしれません。
 色々な薬がありますが、感染初期の肝組織の損傷の大きい幼虫の肝内移行期は処置をしたくても虫卵が糞便の中に出てこないのでなかなか気づきにくい時期です。なので、牛さんに感染力を持った肝蛭付きの草をあたえないことが一番ですね。稲わらにくっ付いた肝蛭はそのままの環境では3から4か月は生存可能ですが、乾燥した環境下だと感染力を失います。よって、できるだけ自分で稲わらを作る場合は干してしっかり風を通してあげると良いです。

第48話:寄生虫の話㉜

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