(有)シェパード[中央家畜診療所]がおくる松本大策のサイト
松本大策のコラム
肺炎?熱射病?

コラム一覧に戻る

2014年8月4日

 暑い日が続きますね。
僕は毎年この時期は、台風の影響で出張予定が狂うことに戦々恐々としています。

 ところで、じつはこの時期、獣医さんも悩む事があります。それは夕方の急患で呼ばれたときの、息が早くて肺に水腫(肺に水が出ている状態)を起こしている牛さんの診断です。

 だって、肺炎なのか、熱射病なのか、区別が難しいんですよ。どちらも熱は高いし、呼吸は速いし、熱射病だって肺に炎症があるときと同じような水腫が出てくるんです。

 獣医さんは、それまでの牛さんの状況や、ここ数日の気候、心臓の状態、牛舎環境、などを元に一生懸命考えます。

 だって、下手に抗生物質なんか使ったら、明日「出荷しないとやばい(汗)」という状態になっても出荷できなくなりますもんね。

 ちなみに牛さんが肥育中期以降で、ビタミンAの欠乏や第一胃発酵異常などが疑われる場合、「代謝性急性肺水腫」を疑い、全身状態次第では即出荷にします。
 ビタミンAやカルシウムの欠乏で心臓が弱ると肺に水が出て、それが呼吸で泡のようになって気道をふさぐので、まもなく死亡する、というケースが多いからです。

 ちなみに、第一胃の異常発酵で発生する3′-メチルインドールという物質も、急性肺水腫を起こして牛さんを死に至らしめます。

 そういうわけですから、この時期の呼吸器症状の治療は慎重な上にも慎重を期して、出来るだけ早めに獣医さんに診ていただきましょうね。

肺炎?熱射病?

肺炎?熱射病?

|