2014年6月23日 みなさんこんにちは、シェパードの松本です。 夏バテというと、肥育の大きな牛さんたちでは「心臓」が弱ってきてるんじゃないかと心配になります。 僕たち獣医師は、聴診器を使ってなるべく精密に心臓の音などを聞くようにしています。じつは聴診器で聞いているのは、心拍数だけじゃなくて、ドックンドックンという心臓の音の「ドッ」っと言う部分(1音といいます)は、心臓が収縮するときの音で、「クン」の部分は心臓が拡張するときの音なのですが、それらの部分の強弱や、音が割れていないか(2音の破裂などという言い方をします。)、リズムが乱れていないか、心音の強さは正常か?なども聴いています。それから、心臓の弁膜を血液が通過する音に雑音がないか?なども重要な情報です。 でも、聴診器だけでなく、外見から見ても「あ、ちょっと心臓が弱っているかな?」と判断できることがあります。その1つが、今日のお話の「頸静脈拍動」です。 みなさんは、静脈と動脈はご存じですよね。心臓からでる血管が動脈、心臓に血液を戻す血管が静脈です。動脈は心臓の収縮に合わせてドックンドックンと脈を打つのですが、静脈は全身を流れて毛細血管を経て心臓に血液が帰ってくるので、すでに心臓の収縮の影響が消えていて脈を打ちません。だから静かな脈で「静脈」というんです。 心臓が収縮すると動脈にだけ血液を流すために弁が閉じ(この閉じる音が「ドッ」なんです)静脈へは血液は流れないのですが、心臓が弱って静脈への逆流を防ぐ弁がうまく閉じなくなると、静脈に逆流する血液が心臓の収縮の影響を受けて脈を打つようになるのです。 一番解りやすいのが、牛さんの首のもっとも大きな静脈(頸静脈ですね)です。ここをよく見て(写真の黄色いラインで挟んだあたりです)、脈を打っているようなら心臓が弱っている可能性も考えます。 |