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蓮沼浩のコラム
「第208話 「PI牛ってそもそもなんじゃ? その3(BVD-MDのお話)」」

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2010年11月25日

 ある妊娠している母牛にBVD-MDウイルスが感染するとはたしてそのお母さんのお腹の中にいる胎児はどうなるのでしょうか?答えは母牛にウイルスが感染すると簡単に胎盤を通過して胎児にウイルスが感染してしまうのです。このような感染を経胎盤感染といいます。そしてこのウイルスが感染したときの母牛の妊娠日齢が重要になります。左にその結果を図にしているので参考にしてみて下さい。基本的にはウイルスが感染することで流産、死産がおきやすくなります。妊娠日齢が早ければ早期胚死滅。しかし、妊娠60日以降に感染した場合は何とか流産しなければ子牛として産まれます。

 ここからはちょっとわかりにくいかもしれませんが胎児の免疫のお話しになります。胎児は妊娠120日齢、つまり約4ヶ月までは完全に免疫機構が完成していません。まだ自己と非自己を区別することが出来ないのです。簡単に言えば感染したウイルスにたいする抗体をつくることができないのです。このことがそのあとの問題をもたらします。

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