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蓮沼浩のコラム
「第206話 「PI牛ってそもそもなんじゃ? その1(BVD-MDのお話)」」

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2010年11月11日

今回からは今まで話してきたPI牛について肉用牛を念頭にできるだけわかりやすく色々と話していこうと思います。まずこのPI牛はどのような牛さんかということを簡単に説明すると・・・・

BVD-MDウイルスに感染しており、ず〜っと大量のウイルスを周りに撒き散らす牛さん

であります。このような状態を持続感染していると表現します。そしてこの牛さんがいる限り、死ぬまでウイルスを出し続けるという事は・・・・

牧場の中で他の牛さんに病気をうつしまくるとんでもない感染源となっている

ということがわかります。大抵このPI牛はひどい肺炎をもっていたり、慢性下痢だったり、毛がぼさぼさだったり、異様に発育が悪かったりと明らかに他の牛さんとは違います。当然獣医さんも農家さんも一生懸命治療して何とかしようとするのですが、悲しいかな、治ることはありません。必死になって治療していると・・・・その間にもこのPI牛はウイルスをバリバリ出していますので、他の牛さんにも感染が広がってきます。最終的にはもう牧場内は病気だらけという状況になってしまいます。そして気がつくとそのPI牛は天に召され、だんだんと嵐のような病気は落ち着いてきます。もしもここで話が終わるのであれば、BVD-MDはあまり問題にはならないのですが・・・・。

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