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名前について考えていると「粘膜病って何じゃ?」と思われる方がいると思います。超簡単に述べればこれは「体中の粘膜におきる重度の炎症」とでもいいましょうか。具体的には鼻粘膜、口粘膜、腸粘膜などに糜爛(ビラン)、潰瘍ができます。ひどいものはそこに細菌の二次感染がおこり、病変部がさらに悪化します。当然口の中の粘膜がただれているのですからヨダレもかなり出てきます。口蹄疫とも非常に似た症状になるそうです。腸の粘膜も潰瘍だらけ。当然激しい下痢となります。このような状態のとき、獣医さんは「粘膜病を発症している」といいます。最後はガリガリのボサボサの恐ろしく発育の遅れた異様な状態になってしまいます。治療してもほぼ100%死亡します。粘膜病を発症する牛さんは基本的にはBVD-MDウイルスに持続感染している場合がほとんどです。いわゆるPI牛(ピーアイギュウ)というやつです。普通に免疫がしっかりとしている牛さんは粘膜病を発症するほどひどい状態になることはほとんどありません。しかし・・・・世界には日本にはない超強力なBVD-MDが存在します。890株やHenn株という種類のBVD-MDウイルスは恐ろしく強力であり、アメリカでは1980年代の後半から1990年代の初頭で大発生し、約15000頭の乳牛が次々と死亡したそうです。感染してから半数以上の牛さんが24~36時間以内にバタバタと死んでしまったというのですから驚きです。BVD-MDにはこのような面もあるということを頭の片隅に入れておいてくださいね。 |