2014年6月9日 先日、お世話になっている農家さんから「元気で出荷されたのに、食肉検査場で「敗血症」で廃棄になると言われた、と連絡が入りました。 敗血症というのは、バイ菌が血液に乗って全身に回って、文字通り免疫の役目を担っている血液がバイ菌に負けた状態のことです。バイ菌の出す毒素(これが全身に回っている状態を「毒血症」と呼ぶこともあります)などの影響で発熱したり、ショック状態に陥ったりする怖い病気です。 さて農家さんの牛さんは、奇跡的にも検査合格で格付けがつきました。そこで、おそらくこの牛さんは、疣贅性心内膜炎(心臓のおもに弁に細菌性の疣が出来る病気)で、臨床症状を出さないタイプだったのだと思います。このタイプは、食肉検査の際に全身の複数の臓器からバイ菌が掲出されなければ、全部廃棄には出来ないのです。 とは言うものの、このタイプはよっぽど状態が悪い場合を除いて、生前に見つかることがありません。状態が悪ければ、発熱を繰り返したり、頸静脈の拍動が見られたり、心音に雑音が聴取できます。しかし、生前の症状がなければ、獣医さんも呼ばれることはありませんし、治癒のしようもないと言うことです。 今回の牛さんが奇跡的に廃棄にならずにすんだのは、農家さんの愛情と祈りの力ではないかと思っています。 前の記事 そろそろまたカビに注意しましょう!の季節 | 次の記事 これからの国産牛の道 |