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第32話:寄生虫の話㉕ |
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2014年4月25日
久しぶりに寄生虫のお話。だんだん暖かくなり、これからは寄生虫にとってうれしい季節となります。
今回は虫卵の形態が大変特徴的である、ベネデン条虫についてです。ベネデン条虫はササラダニというダニが媒介するため、やはり放牧牛で寄生が多く見られます。成虫は腸に寄生し体長は4mに達するものもあります。条虫の体は1つの頭節と多数の片節が繋がって出来ており、1つ1つの片節に♂と♀の生殖器が存在します。片節は頭節から離れているものほど成熟した片節となり、たくさんの虫卵を含んでいます。成熟片節は頭節と未熟片節の連結から切り離され、牛さんの糞便と共に排出されます。条虫の片節は肉眼で充分確認できる大きさであるため、「なんだかとんでもないものが糞便から出てきた!早くどうにかしなければ!」と驚く方もいるかもしれませんが、条虫の病原性ははっきりとは分かっていません。ですが、やはり4m近くも条虫が成長するためには牛さんが吸収するはずの栄養を横取りしているのは間違いないので発見したら駆虫しましょう。

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